詩人:甘味亭 真朱麻呂
学生服の学ランの黒い色とも違う
工場のドラム缶にたまった油の黒とも違う
傷跡が黒く固まって瘡蓋になったあの色とも
雨降りの空の暗雲とも違う
不安の黒色
どんよりと黒く
どんな黒よりも
もっと濃く
もっと深い
僕の胸の中
蜷局を巻く
不安の黒色
それはいつも
黒く 黒く
僕の心を染め上げる
悲しく 悲しく
僕をさせる
いつだって
何処にいたって
僕の隙を突いては
涙させ 切なくさせ
儚くもさせる
それが不安
黒く 黒く
澱んだように
消えず なくならず
僕の心に巣くう
不安の黒色
それが不安
不安の色。