詩人:どるとる
予想にもない突然の雨にこれはヤバいって
とっさに開いた穴だらけの傘
悲しみからの防衛策もむなしく
だだ漏れの 雨の乱れ撃ち ぼくは 忽ちずぶ濡れ
雷の手厚い洗礼も受け
悲しくて 涙だらだら 鼻水どろどろ
遠い昔の 忘れたはずの悲しみも
ふいによみがえりそうな
帰り路の 悪夢再来
悪魔がどこかで含み笑い 聞こえてきそうなほど 今 絶望的なのさ
七色の パラソルは
ぼくにはやっぱり似合わない
フリルのついた おしゃれな傘も ぼくには似合わない
ぼくに似合うのは悲しみにしてやられてるそんな情けない姿
雨もしたたるいい男
徒然なるままに過ぎ行く日々の波に揺られ
皆さん ご存じ
悲しみという敵襲に遭い ぼくはズタボロロ
透明な 傘から透かして
見える 七色の虹
雨上がりの哀愁
もちろんそんな今日もまたとない1日だから
さあ パラソルを開くように パッと勢いつけて 大事な運命の尻尾 離さないようにねぎゅっと掴んだら
始まりのスイッチポチッと押して
走り出す 奇跡に
今 出くわそう
騒ぎ出す 街中に
咲き誇る笑顔
今 パラソルを
ためらわず 迷わず
開くのだ 開くのだ
ぼくはぼくの運命を
今 見届けるように
傘を開けば今、始まる 新しいストーリーの記念すべき スタートに立ち会おう
何色とも言い難い幸せのパラソル開くよ
つかみどころのないところがどじょうみたいでおもしろい
その辺が多分 追いかけたくなるところだ
でもぼくはあきらめないよ
空に叫び雨天に響かせる
素晴らしい明日へ宣戦布告さ
いつもそれは突然に
しかもにわか雨のように
小賢しいタイミングで謀ったように いら立ちをはこんでくる
帰り際 サヨナラのドアを開けたその瞬間見計らったように
ほら 降り出す雨の如く
幸せを遠ざける
未来の彼方まで
そしてそのおこぼれだけが遺る。