詩人:おるふぇ
小さく生まれた
優しい子守唄の夜
ねむの木のたもとで
そっと生まれた
『消えちゃいそうだよ
消えちゃいそうだよ』
もう よしなって
あの子も泣いてるよ
僕の夢 ふわり 浮かべた
万華鏡のような
宇宙の幾奥の
色の中で
世界を潤せ
『消えちゃいそうだよ
消えちゃいそうだよ』
それは赤子みたいに
いつも抱きしめていないと冷たくなって
死んでしまうよ
わめくのは
よせやい
ねむの木みたいに
強くなるんだ
地面の深くまで
ぐっと根を張って
天高く浮かぶ雲みたいに
どこまでも飛んでゆけ!
あの子、笑ってくれるかな?
輝け 輝け!
キラキラと
光で埋め尽くせ!
さようなら あきらめ君
新しい僕、ここからスタート!
小さく生まれた
優しい子守唄の夜
『生きて』
『生きて』
そして
『生きて』
小さかった夢に
気づいて!
育てて
抱きしめて
五感が苦しみの網の目に阻まれ
理知が辛さと悩みの深い奈落にはまり
心が脆さに壊れそうになったとしても
『生きて』
(可能性を生きて)
優しい子守唄が
はっきりと聴こえますか?
ほら
いつでも流れているでしょう
見離されてやしないでしょう!
真っ暗な闇の中
耳を澄ませて…
孤独とか絶望とか…
自己嫌悪とか
自己否定とか
欠落とか閉塞とかの
渦に
巻き込まれそうな
魂を
この手で救い出せ!
奪ったのは誰だ?
戦いを放棄したのは誰だ?押し潰して押し殺して
もがくことさえ
できなかったのは
誰だ?
『知らない』って声は
もうなしにしようぜ
だって
生きているんだもん
輝け、輝け!
キラキラ、キラキラ!
僕らはみんな赤ちゃん
大人も子供も
みんな赤ちゃん
だから
抱きしめていないと
心が心でなくしてしまうんだ
愛がなきゃ
愛さなきゃ
不安なんだ