詩人:甘味亭 真朱麻呂
日が暮れたら
訳もなく少しさびしくなった
涙する自分の姿を想像しながら帰った道
忘れたように時は過ぎて
忘れるようにごまかして
僕は迷い子のようにさまよった
空が茜色に染まるから
余計に悲しくさせる
涙した後はいつもそうそのまま何時間もボーッとして
忘れたくなかったことも覚えてなくて
めんどくさいから思い出さずに忘れたままで
僕はそうやって忘れてく 何もかも
そして空っぽになる
いつか空っぽになる
真っ白な日々の中で
何かを忘れている
何かを覚えている
余計な何かを
大事な何かを
僕は有り余るほどに手に握ってて
意味もないのに大事そうに握ってて
白紙のページ
全て真っ白
いつかの雪のように
いつかの友の顔のように
真っ白に
真っ白に
世界は進んでいく
非科学的に
非科学的に
理屈を裏返していく
何もかも全て残らず
空を 海を 大地を
僕を
青いまま
青すぎるまま
心だけを真っ白に
真っ白な記憶を 思い出を抱えて
僕は真っ白く 真っ白くなってく
世界は面白く 面白くなってく
ただそれを土の中で
骨になって
真っ白な骨になって
僕はきっと
水蒸気になって
目に見えない水蒸気になって
羨ましそうに
漂うだけ
真っ白な雲のように
真っ白な雪のように
降るように
降られるように
真っ白く 自由に
ただ
真っ白 自由に
漂うだけ。