詩人:千波 一也
片腕を
持たないことを
嘆くすべなど
持たない
ことが
彼ら
彼女らの
片腕なのだろう
彼ら
彼女らは
作り手ではないけれど
それがゆえに知る
作り手の姿が
ある
両目の
細い軌跡が覚えた輪郭は
彼ら
彼女らの
彫像ではあるまいか
語る言葉も
語らぬ言葉も
風へと還る刃に過ぎない
表立つ刃も
表立たぬ刃も
風へと還る無言に過ぎない
台座に寄り添う題名に
目を落とす形を
台座の主は
確かに
見て
いる
自らの手で
掘り削るすべはなくとも
その
置き換わるもののない
刹那の対峙の鋭さを
彼ら
彼女らは
見ている
唯一無二の
技法をもって