詩人:緋文字
既にその名で在ったから、
そんな理由でよいから
呼んでみよう
時だけ過ぎては
負荷として掛かるのを
払わなければ
開くこともないと
黒い蓋にさし置いてきた
あの鍵を取りに行こう
引き起こした一枚
握った手の中に残った
薄くなるばかりの文字
貴方より更に赤い顔で
3人分のサンデーを
食べ続けた寒い午後
中から見た外
あまりにも空風が葉を落としていくのを見ながら
理屈の解らない私には
それさえ理由に思えた程で
枯葉持ち帰り
燃される者があるなど
気付きもせず
千代紙人形然と仕立てられ
さも相応しげに一度きり
零したものも
ただの、口惜しさ
他所様の目とは何とも便利
近くにあろうが
遠くにあろうが
観たいままに視てくれて
自らを歪め続ける者にさえ
認めようとする者は在り
傍ら遮二無二生きている
或る朝、玄関先に置かれた
ヘラの跡ある精巧な雪塊
あれが夢だったような気がしてならなかったけれど
今でも繰り返し映るようで
あれが在った、という気がしてならないのだけれど
これもまた少しでも、と
私が歪めてしまっただけかもしれないけれど
呼んでみよう、
傍ら喜ぶ者あるなら
そんな理由でよいから
然し
僅かの親しみ含まず響き
届いてしまったら、
懸念が消えず
臆して喉元に残す
もう一度開いて手を置く為に、鍵を取りに行きました
機嫌よく聴いていた
貴方の顔を思い出したから