詩人:どるとる
人々は雨が降る街の中で 今日も見えない悲しみにも濡れてる
無邪気さで足りない部分を補ってるような小さな子供でさえ
悲しみの雨からは避けられない運命の上を歩く
それがさだめだから
背中越しさよならと愛想もなく言ったまま
街を離れた数ある思い出はいつか また この胸に戻るでしょうか
唾を吐いて 忌み嫌ってきた 友情やら愛情やらを ぼくは今
欲しがってる
おかしな程に
ふと枝から舞い落ちる枯れ葉のように流れる人波に混じって雨の中 立ち止まってみると 目の前の雨のせいかまるで景色すべてが大きな鏡になったように見えて
重ねた歳のぶんだけ
自分の孤独さが今さら身にしみてくる
ああ、ぼくは今間違いなくひとりなんだな
正しいこと
間違ってること
そのひとつひとつを
頭の中で分別して
ふと見返してみると
わがままな自分のエゴで選んでいたことに気づいた
それでもぼくはどうしようもないほどわがままだったから
別にいいじゃないかって吐き捨てるように良心さえも踏み潰した
『自分』って存在が孤独になったことでなんだか自分にだけ依怙贔屓していることにも気づいた
自分を変えるのも
自分をころすのも
自分を生かすのも
すべては自分なのに
ぼくは孤独になれすぎてしまった
ぼくに見えてる幸せはなぜだかいつも悲しさにあふれてる
つかんだ笑顔は
他人には涙に見えるのかな
いつの日かまた帰れるだろうか
懐かしいあの街に
ぬけがらのこのぼく
ここにいるのはあの日のような優しかったぼくじゃない
思い出の倉庫に置き去りにしてきた優しさやぬくもりは今のぼくにはこれっぽっちもない
ここにいる今のぼくはぼくと同じ姿形をしてるだけの悲しい幻影に過ぎない
愛や優しさを見てもすぐに欲望に尻尾を振る
こんなぼくは存在していても存在する事さえ悲しいばかりのドッペルゲンガー
本当の幸せ忘れたドッペルゲンガー。