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[153774] 空の気まぐれ

詩人:どるとる


降ったり止んだりする雨が 朝からもううっとうしいな
それでも聞こえる雨音はまるで 生まれたくなかったのに生きているぼくに似ている
ここにあるもの
ひとつひとつ数えたら 光るものはひとつもなかった

君の声が聞こえる
遠くから近くから
ぼくはじっと耳すました

今夜は曖昧なこの音色に見送られながら
光と影を繰り返す悲しさを抱きしめよう
涙と笑顔のまだら模様で染まる空がほら
もうすぐ またたくよ

少し開いた窓の隙間からこぼれる光のビームが闇を貫き
ぼくをいま照らす

空の気まぐれにつきあわされて困り顔の真夜中は濡れた月も苦笑いするのかな

明日の行き先を
指し示す灯台が
照らしたのは
希望あふれる未来
そうであることを
ただ願いながら
ぼくは眠る

空の気まぐれにはもうつきあいきれないと月は身を隠し雲を毛布に 空より先に眠った
いつものことさ

夢の中なら
空の気まぐれからも
関係なくなって
逃れられるから
ぼくは月と同じような立場で 笑う
夢はまた始まる
夜明けとともに
夜は溶けて
その下に隠れていた
朝がペンキがはがれたように 顔を出す

そしておしゃまな太陽が街を 照らす

それだけの日々もぼくには掛け替えない日々なのさ

そしてまた
夜がくれば
ぼくも月も
空の気まぐれにつきあわされて

眠れない夜は案外それで気がまぎれたりするけれど
やっぱりうっとうしいものはうっとうしいから 大概は寝たふりするのさ

明日に疲れを残さないために
また 寝覚めのいい
夜明けを むかえられるように

ぼくは空の気まぐれを 全力で 無視する。

2010/02/27 (Sat)
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