詩人:千波 一也
恩のある御方は
どなたでございましょう
恩のない御方は
どなたでございましょう
あちら、
こちら、と
ひとの名を見て
顔を見て
あちら、
そちら、と
仕分けます
恩のある私は
今いずこ
恩のない私は
今いずこ
あちら、
そちら、と
ひとを選んだ
その挙げ句
私の知らない
私に迷う
私です
恩あるひとと
はぐれています
恩なきひとと
はぐれています
こちら、の都合で
こちら、の事情で
そちら、の所以で
そちら、の道理で
あちら、
どちら、と
遠くばかりを眺めては
近目を離れぬ
私です
2012/08/09 (Thu)