詩人:栢徠
目の前に広がるのは
真っ白な銀世界
灰色の空から舞い落ちるのは
小さな雪の結晶
足を踏み出すごとに聞こえる雪を踏みしめる音
後ろに続くのは
私の歩いた道筋を教える足跡
不思議と寒くない真冬の光景
ゆっくりと目を閉じると雪の降る音が聴こえる
閉じた時と同じようにゆっくりと目を開くと
そこにあるのは雪などまったくないコンクリートの道
同じなのは雪ではなく、雨の降り出しそうな灰色の空だけ
つかの間の銀世界は
夏のくれたくれた贈り物
それはこれから訪れる暑い日々へのお詫びのような涼やかな白昼夢
2007/06/18 (Mon)