詩人:千波 一也
言い訳じみた黄昏には
別れを告げましょう
もう
何回も躊躇ったなら
後悔は十分だから
恐れるものなど
なにも無い
やさしい歌が嫌いです
今も、嫌いです
傷つきやすい柔肌を
滑らかになぞって
過ぎるだけなら
なにも無いのと
同じこと
透明に
なりきれないわたしには
痛々しい歌のほうが
馴染みやすい
夢は
きっと叶わぬものでしょう
けれど
気づかぬうちに
叶える夢もあるでしょう
夢の形は
程よく定まらないがため
あれやこれや、と
荒野を渡る
風になる
誰かに言葉を告げるなら
偽らぬよう、
本心を
他人であろうと
自分自身であろうと
うわべの一時の麗しさに
魅入られてしまわぬよう
置き去りにした昨日を
迎えに駈けましょう
時を
重ねすぎては
咎めが不透明に増してしまうから
少しでも早く
我に返りましょう
背き続けた
近しい場所がある人を
友と呼んでもいいですか
そこから繋がる明日のために
わたしは生きて
笑います