詩人:どるとる
午前中いっぱい
さんざん降り続いていた雨も
正午過ぎに一度はやんで
そしてまた夜から明日の朝方にかけて天気は崩れるらしい
まるでこの世界の今を縮図にしたみたい
目の前を行き交う
絶え間ない憂うつな顔の人々の往来
僕までなんだか理由もなく憂うつになる
まるで川の流れ
変わらない街の風景と渦巻く不安をそこにかいま見る
それをせき止めたのはつかの間の静寂
目を閉じた僕の目の前に一瞬でつくられた入り口も出口もない暗闇の世界
ああ 降り続く雨のその中を歩く僕
もちろん宛てなんかはない
なすすべもなく雨に打たれた花のようにそうなるべくしてなった孤独にふるえる僕を
絶え間なく上から下へと空から地面に向かって落ちる雨の一粒のように
ただはじけて消えるものの中に数えないで
一粒は一粒一粒がはかないけれどそれぞれがそれぞれにしかない何かを持って生きているんだ
だから雨はやまない
僕らがどんなに願っても
信号は変わらない
ずっと 赤は赤のまま
青になるのは こちらの意思じゃない
雨がやむタイミングなんてわからない
だから 悲しみもいつ癒えるのかわからない
まるでそれは雨のように気まぐれに僕を濡らしては嘘みたいに晴れ間をのぞかせやむ
希望に 絶望が 入り混じったような
後味の悪い 影をのこして
僕らはそれにいつまでも 苛まれる。