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詩人:理恵
目覚めたら窓の外 白銀の街
暖かい電車の中 まだ夢の中みたい
現実味ないおとぎ話みたいな日々思い出してた
心地よい温度とリズムにもうすぐさよなら
ホームに降りたら音のない世界さえ
自分の呼吸で霞んでく
真っ白なキャンバスに 一つ二つ
つけた足跡は
あなたと違う方へと進み始めていた
歩き続けて疲れて 立ち止まったら
冷たい氷の粒に 埋もれた公園
払っても拭っても湿ったままのベンチが
暖かい時間を鮮明に映してゆくの
分厚く重ねた雲の上にさえ
きっと太陽はあって
暗いと思ってた街に一つ
夜の気配がする
ひとりぼっちの世界みたいだ
このまま時間が止まればいいのに
降り続く雪は歩いた跡さえ
何もないように消してく
暗闇に一つ浮かんでいた
街灯だけが知ってるの
寒くて涙が出そうな夜さえ
歩くことはできて
灯りに別れを告げてみたら
闇の中に白く自分の呼吸が映って
鼓動を感じたんだ
2018.3.23