詩人:アル
《強ing・プロローグ》
ねぇ、サキちゃん
ケッコンしない?
サキって誰ですか?
わたしユキですけど?
ねぇ、ダメ?
ユキちゃん?
ダメです!
だって主任
奥さん
いるじゃないですか!
いたらダメなの?
なんで?
何でって、
ダメに
決まってるでしょ!
なに言ってんですか!
じゃ何、エリちゃんは
いちいち
相手が既婚者か独身か
確認してから
好きになるわけ?
ユキです!
サキとかエリとか
ワザと間違えてませんか?
名前なんて
タダの記号だよ。
きみは名前で
人を好きになるのか、
エリりん?
エリりんって(笑)
ユキですから!
もう、
いい加減にして下さい。
何度くらい?
ぬる目が好きなの?
湯加減聞いてる場合
じゃないです。
俺シャワーなんだよね
冬でも。
いや、だから、
お風呂の話じゃなくて。
何の話だっけ?
結婚です。
え!してくれんの?
だから、しませんてば!
なんで?
俺が嫌いだから?
別に
嫌いじゃないですけど…
なら、いいじゃん。
よくないです。
主任、
奥さん
いるじゃないですか。
きみ、
俺の奥さん
見た事あるの?
ないです。
きみは自分で
見てもいないモノを
信じるのか?
俺はユーレイも
ユーフォーも信じない。
なんの話してんですか!
何の話だっけ?
……。
いつがいい?
は?
だから、
俺たち
いつ式挙げようか
ユリちゃん?
もういいです…
わかった、
ごめん、悪かった
結婚は諦める。
その代わり、
俺と個人的に
付き合ってくれる?
それ普通に世間では
不倫って言うんです。
それじゃ、
普通じゃないヤツで…
普通も特別も
いりませんから!
ホント我儘だな。
どっちがですか!
あの…主任?
そろそろ
お昼休み終りです。
もう行かないと。
何処に?
やっぱ結婚?
教会?
会社です!
2007.Dec.