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[62780] g

詩人:緋文字

重い、



カラカラ
パタパタ
せわしない音
続けば何時しか
それも子守唄に
こういうものには
いくらでも応じた

此処が何処だか
気付かせたのは
誰の許で行われたのか
あろうことかの談笑
ずっと遠くの方から
聞こえていると思っていた
それはほんの直ぐ足元で

うとましい

申し訳程度の
薄い肌布団
通して伝わった
おそらく膝の辺り
無造作に無遠慮に
置かれた
何か
また

掠れ声 ひとつ あげ
掻けない眉根
よせたところで
誰かの
一際高くなった笑い声で
誰にも
気付かれない


目交ぜの覚えなく
視線は天井に固定

スッと入ってくるなり
見過ごされたそれを取りあげ
詫びるような笑み寄越し
椅子に腰掛けた人の手にあったのは
団扇だった


感じる重さなんて
勝手なものかな
きっと
その時だから感じた
たぶん
どうでもいい 重さだった

詫びる必要などない
なのに
間に合わなくてゴメンって 顔だった

でも、だから
その人を尊べて


後日また
テーブルの上にでも置くように
誰かがポンと忘れた雑誌
それには
重さは感じなかった

2006/01/18 (Wed)
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