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[153988] 夜の灯りにさよならを告げて

詩人:どるとる


夜の灯りにさよならを告げて手を振るでもなく家路を歩く
朝へと向かうべく
夢の扉を叩いた
返事はないが
かまわず開く

夢の中はとても
心地いい
深いまどろみと安らぎに満ちた世界

とろんとした意識の中
僕は無意識に夢の出口を見つけて
光の中へ 光の中へ
もぐってゆく
海面から顔を出すように
夢から覚めた僕は
のびをする
大あくびして

昨日にさよなら
今日にはじめまして
繰り返すそんな茶飯事がなんだか愛しくて 抱きしめたくなる
実体のない 出来事を

今日はいくつの笑顔が咲くのかな
昨日よりたくさんの笑顔咲くかな
そんなこと考えながら素敵な夢広げる朝
旅立ちはモーニングコーヒー
湯気が立つ
カップの中に角砂糖を落とす
ポチャンとはじける音が聞こえたら幸せな気分になる

そうやってまた夜へと向かうべく
僕は朝へ向かったように今度は夜を目指して地図もないのに
間違わず 夜へ行ける
でも 不思議に
昨日の夜とは違うようだ

ほら こぼす涙のひとつぶや あふれるため息のひとつからして違うんだ

もう 過ぎた夜はかえらない
そして また 夜は明けて朝がはじまる

僕らはさり気なく別れるけど本当にわかってるかい?
今日の夜にはもう会えないんだよ?

僕は吐き捨てるように言った
わかってるさ

相変わらずの景色
見上げれば
空が果てしなくつづくだけの世界

当たり前すぎて
油断すると
何もかも忘れてしまいそうな

そんな今日にさよならを言うのすら忘れてしまう
今日は言おう
優しい気持ちだから
言えそうな気がするから

『さよなら…』
それで少しでも
心の寒さあたたまるなら。

2010/03/06 (Sat)
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