詩人:千波 一也
言葉はわたしを
待たないし
わたしもそれを
望んじゃいない
なにごとも
自然であれ、と
よかれと願う
ただ
わたしたちはその判断に
自信がもてなくて
波間や雲に
尋ねたり
する
この世には
識別の難しいことが
たくさんあるから、
聴けない言葉は
五万とある
きっと
言葉を抱かぬものはない
事象だろうと
造作だろうと
皆それぞれに
言葉を
抱いている
わからない、と
聞こえるように言えたなら
小さい声でも
大きい声でも
聞こえるように言えたなら
それは
立派な勇気でしょうね
否める余地のない
立派な勇気でしょうね
言葉は
あいにく
わたしを待たない
当然わたしも
望んじゃいない
ねがいや
祈りがあるなら、それは
言葉に満たない
どうしようもない
言葉、
なのでしょう
にわかには
信じられなくても
無数の
うねりの
海原みたいに