詩人:あいく
人間の女の子に
恋をしてしまった悪魔は
人間になりたいと思い
偉い悪魔にお願いをしました
「僕を人間にしてください」
「それは至極簡単な事だ」
「本当ですか?」
「でも一つだけ条件がある」
「それは何ですか?」
「御前さんのなりたいものの中で
御前さんの一番大好きなものを
代わりに悪魔にすればいいのさ」
「そんな、、、、
それじゃあ意味が無い
何故なんですか?」
「悪魔の数を減らす事はできないのだよ
悪魔の数と沽券は下げてはならない
これは決まりなのだ
でも人間を悪魔に変えるのは簡単だよ
悪魔の超能力を与えれば
勝手に悪魔的振る舞いを取るようになる
そうすりゃもう立派な悪魔さ」
「他に方法は無いのですか?」
「ありはしないさ
でも御前さんも変わっているね
そんな簡単に悪魔になっちまうような
人間にだなんてなりたいとはね
で、御前さんどうする?」
人間になりたい悪魔は何も言わずに
首を横に振りその場を立ち去りました
どうです?悲しい話だと思いますか?
もしそう思えば悪魔の思う壺
悲しいとか、辛いとか、寂しいとか
そんな負の感情こそが
悪魔にとっては御馳走なのですから
でも人間になりたかった悪魔が
どうして人間にならなかったかは
考えないでくださいね
だってそれはとても悪魔らしからぬ
理由だろうから
悪魔の数と沽券は下げてはならないのが
きまりですから。。。