詩人:ナナエ
現実がこの手を引いて
在るべき未来へ連れていく
過去はその行く手を遮るように
忘れないで
と泣いている
思い出が背景のように
周りを取り囲み
幼い私がキラキラ笑っている
大人になんてなりたくない
独りで一人前なんて
そんなもの欲しくない
しかし
どんなに泣いて喚いて暴れても
現実はこの手を離してくれない
過ぎていく
背景は残像も残らず
消えていく
涙も叫びも感情も
現実の前では意味を成さず
ただひたすら死んでいく
時の流れには逆らえず
時の流れを止めることは叶わず
こんなにも無意味なら
諦めよう
そう呟いて顔をあげたら
見えない私が
キラキラと笑った