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[63205] 溶いた色の中

詩人:緋文字

なんとなく
歩いて帰りたい日がある

気持ちよく晴れた一日が
作り出せないモーブで終わろうとする時だったり

ヘッドライトが照らす
一斉に転がり滑る乾いた雪を見た時だったり

今夜は傘が要るか要らないかの小雨模様

途中少し足を止め
閉じた瞼へ湿気を含んだ冷たい空気をあてて

ゆっくりと目を開ける

どこかの家の常緑低木
夏隣に食べる為の黄色い果実を
早熟に成らせていて

あのコが一緒なら
突然もぎ取り
私に手渡しそうな気がした

どうしているだろな

気をとられ
ブーツの踵が高すぎた事を思い出し
心配すると心配するかもしれないから
考えるのはやめようと思った
彼女はスルドイ

街灯が
濡れた流線型の金属へ
塗装の上からも
ぬめりを帯びた 色と光りを与えている

先程エンジンが切られたのか
その下には二匹のまだ若そうな猫

あの場所で
後どれくらいの暖をとれるのだろう
今夜はそこに落ち着くのか
また求めて移るのか
疲れて眠るまで


思い巡らすうちに
家に着き
鍵を探り 取り出す

どこだったろう

今日、失ったように感じた自分の一部

少しは取り戻せたような気分で ドアを閉める

2006/01/18 (Wed)
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