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[154116] 世界が目を閉じておとずれる夜

詩人:どるとる


遠くに揺れる街明かり
ぼくを照らす月明かり
ただそれだけでなんだか切ない雰囲気

急ぐ必要なんて何もないのにまるで人より前に出て急ぐことが素晴らしいかのように我先にと行き交う人
こわい目をしながら

星の数ほどこの世界にきらめく不思議
昨日も今日も僕をときめかせてる

ありふれた 日々を
もう何度となく繰り返してきたよ
吐き気がするほどの長い長い時間を
くぐり抜けてきたよ
それでもまだ半分も来てないんだから
この人生の長さがしれるね

きっとぼくが見過ごした何かが幸せなことだったんだろう
きっとぼくが唾を吐いてくだらないって言ったことが奇跡なんだろう
ぼくはそれらにゆるされてここにいる

燃えるようなあかね色を眺めてたら
いつのまにか夜になっていた
胸を焦がす切なさは本物も偽物もなく
ただぼくを立ち止まらせる

今、ぼくは濡れてやしないけど
見えない雨に降られているんだ
人ごみの中押し流されるように追いかけていた
未来を見失い
いつの頃からか
自分さえ見失ってた

振り返れば いつも
ただなんの意味もなく
空っぽのままで
沈みゆく太陽を
見送るだけで一日が終わる

空が深く目を閉じたようにほら夜はまたおとずれて
喜びも悲しみも
切なさも憎しみも
少しの幸せも
全て明日という
今日と同じ世界に
押し出されるように
運ばれてゆく

今日は何が幸せだったんだろうか
明日は何を幸せに思えるんだろうか
幸せが何ひとつないならば生きている意味も生きていく意味さえなくなりはしないか
ずっと考えていた
でも考えてみたところで無駄だったよ
あまい夢の中で
意識もろとも
溶けきってしまうから

たとえ今日どんなに悲しくても
今日より明日は悲しみは半減していて
またお気楽に笑える

そしてまた世界は目を開き朝という名の景色が眼前にひろがる

そしてまた夜が来るまで。

2010/03/11 (Thu)
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