詩人:康介
自分はいつもいつも加害者だと
自分はいつもいつも悪者だと
それがどうしたと彼女は言った
部屋は吹雪で揺れて
僕はストーブに火をつけたくて
でも彼女が融けてしまうから
スイッチを押す手を引っ込めた
自分はいつもいつも邪魔者だと
自分はいつもいつも迷惑者だと
それでもいいと彼女は言った
僕は何を言いばいいのかわからなくて
彼女を抱きしめたくて仕方なかったけど
熱をもつ僕は彼女に触れることすら許されなくて
抱きしめるべき手を引っ込めた
自分はいつもいつも嫌われるけど
自分はいつもいつもそれに耐えてきたけど
君にだけは嫌われたくないと彼女は言った
熱と寒さに震える僕を
彼女は優しく抱きしめた
涙を流すように少しずつ
彼女の存在は融けて消えていった
僕は消えた彼女を掬おうと
冷たい水溜り手を伸ばして
その濡れた掌で冬の空を抱きしめたんだ