詩人:どるとる
生きているという自覚すらないんです
でも確かにぼくはここにいてちゃんと生きているんです
いつもいつでも苛立ちはらませて
人に愛想振りまいて
笑ってみても
人の輪に加わるために何か犠牲にしても自分をさしおいてまで得たいものは何もなかったよ
逃げ道はどこまでも続く
終わりなんてないほどに
暗闇はぼくをのみこんでゆく
走りつづけること
それは生き続けること
一瞬の休みもなく
ぼくの心臓は動いてる
だからぼくは生きていられる
この世界には生きていられることを心から幸せに思えることは何もなくって
ただぼくは繰り返す時間の中であがきもがいているよ
夢から覚めた現実に吐き気をもよおしながら
逃げ道はいつでも用意してる
逃げ場を用意してなくちゃ生きられない
嫌うなら どうぞ嫌え
ぼくはひとりでもいい
むしろひとりがいい
生まれたことさえ間違いのように感じてしまうほどに
悲しくて 悲しくて
言葉にさえできず
誰にも言えないから
雨はやまない
ずっとぼくは濡れたまま
なすすべもなく立ち尽くすだけの日々をおくっています
同情や批判など
なんの役にも立たない
ぼくをねじ曲げたのは一体なんなんだろうね
答なんて きっとどこにもない
全てはぼくが決めることだ
誰の指図も助言も参考になんかなるはずないよ
だってこれは
ぼくだけの道だから
生きるのも死んでゆくのもひとりなんだ
重たい鉛を抱いて
終わりのない暗がりにまぎれる黒猫には孤独が似合う
振り返らずに歩けるかい?
逃げ道を走るその途中で何か気づいても
涙押し殺して ぼくはそのまま走る
何もいらない
何も 求めない
逃げ道を行く人よ
それでいいならば
君が決めたならば
走りつづけなさい
涙はやがて乾くから
悲しみは癒えないけど
もう戻れない道
光から遠ざかる悦びよ
ぼくは悲しくないよ。