詩人:清彦
腹が減ったのが動機
何のためらいも無く
真夜中のコンビニへ向かって
無機質に並べられた食品と
ついでに煙草にコーヒーを手に
財布の中身を思い出し
「こんなもんでいいか」と
自分に嘘をついたら
レジへ向かい
顔見知りなだけの
店員のお兄ちゃん越しに
お会計を済まして店を出る
家へ帰ったら
感謝もいただきますも無く
罪悪感も無くそれらを貪りながら
気ままに
録画済みのテレビでも観るんだろう
腹が減ったのが動機
貧困の元に育った子供が
今日も何処かで食べ物を盗んでる
家族を殺された人が
嘆き悲しみ
この世の中を憎んでいる
いったい何が僕らと違うのだろう
僕はこの資本主義経済社会を
グローバル社会を
この幸福な立場にありながら
でたらめや理不尽が有る事を
知りながら黙認して生きている
僕らの生活は
沢山の死体の上に成り立っている
それなら僕らはそれらの死者に
いったいどんな態度で生きて
そして
いつどんな態度で死ねば良いのだろう
命とは何か
死とは何か
あらゆる欲求を満たし
いったい
僕たちは何を成せば良いのだろう
ただ生きてただ死ぬのではないなら
何故生まれてきてすぐ死ぬ命があるのだろう
音が鳴って僕に聴こえるように
今日も空腹が訪れては貪る