詩人:どるとる
夜、夢を見る
未来に夢を見る
無謀な夢を見る
不思議な夢を見る
妥当な夢を見る
どれも夢だけれど
全て違った夢
夢とは現の悲しさに毛を生やしたような朧気なものだけど
たしかに現に惑う僕らにはちょうどよい気晴らしになる
一種の麻薬常習的なものです
いくら見たって狂わないけれど叶わない夢やありえない夢は見たその人に希望は与えないから
少しは悲しくなるかもしれない
けれど楽しいものです全ての夢は
この夢見る夜も
夢見る今も
悲しみの解毒ではなく少しずつ少しずつ中身から癒していくような気の遠いヒーリングだってことを理解しながら中毒症状の快感に身を置き陶酔していきましょう
夢に落ちるように
いつまでも叶わず
いつまでも届かぬ
夢を見るように
ただ合わせ鏡のずっと果てを見つめて
つかの間でしかも形のない見えない幻と戯れましょう
夜がくるたび
夢見がくるたび
人は皆、
幸せになれるから
眠りの時間がおとずれたらためらわず迷わずその眠気にまかせて夢を見よう
きっと楽しいはずだから
現実の悲しみなんか忘れられるから
また今夜も夢見の時が来たならば睡魔にのまれて揺られましょう 程よい揺れに酔いましょう
現の悲しさが夢にまでまっすぐすぎる光をさすまえに
夢の規律の無さを守るため 心地よい揺れに揺られましょう
覚えてて
忘れないで
夢見の時が来てからね
楽しい夢を見に来てね
現の僕の小さな耳に耳寄りな話
聞こえた 聞こえた。