|
詩人:どるとる
にこやかに手を振る
ピエロ
あの笑顔は嘘なのかななんてね
ぼくが昔 サーカス見に行ったとき
ピエロはぼくに笑いかけてくれた
あの笑顔は今のぼくが周りの人たちに浮かべてる 笑顔とよく似た愛想笑い
人を楽しませる為だけならば素晴らしい笑顔
だけれどとてもたいせつな人には向けられない嘘の笑顔
いつの間にかぼくは知らないあいだに作り笑いしかできない悲しいピエロになっていた
鏡を見たら そこにはうれしくもないのに笑うピエロが映ってた
空が泣いているように雨を降らす真夜中
かすかな月明かりの中
鏡に映った自分から目をそらした
あまりにも悲しすぎて
見つめられないから
いつのころからか人に相づちを打ったり
会話を合わせてみたり
することに一生懸命になるうち たいせつなこと忘れていた
自分というものを隠していた
いつの間にか自分の素顔を忘れてしまって
ピエロの仮面 被っていたんだ
こんな仮面 脱いでしまいたいのに
もうぼくは嘘の笑顔振りまきすぎて
愛想笑いするのになれすぎちゃって
もとにもどれずに
今も悲しいクラウン
世の中の観客に
注目 浴びるために
嘘の笑顔 振りまくピエロ
素直に泣いたり笑ったりできたあのころのぼくの笑顔
今になって恋しくなった
世の中の観客に
注目 浴びるたびに
自分の中にある
笑いたくないのに
笑うしかない
この疑問に
涙が思わず流れて
化粧が落ちて
もとのぼくの素顔が露わになった
そして ぼくは野次を飛ばされ
嫌われ者になった
だけれどなんだかやっとほんとうの笑顔やほんとうの涙
取り戻せた気がしてる
そんなぼくは今
ピエロでもクラウンでもなく
ただの人間だ
それだけでなんだか
嬉しくてさ笑っちゃう
今のこの笑顔はほんとうの笑顔
笑いたいときに笑い泣きたいとき泣ける
その幸せ感じてる
今なら言える
さよなら嘘つきピエロ。