詩人:千波 一也
おそろしいものに
心あたった朝、
月は
黙って
灰色でした
わたしの言葉は
薪のようです
誰かの夜を
あたためうるならば、と
みえない炎を
見つめかねながら
よけいに
沈黙できず
疲れ果てた羽のような
雲のむこうに、
わたしを待たない
時計があります
手をかざし
よけいな光を
さえぎるけれど
いまだに
銀です
かろうじて。
やさしいクリームの
裏側は、海
自覚の深い
禁忌の海
つながれた総ては
二度と解かれません
みんな、
すてきな雨粒ですね
波にあらわれながら
孤独に帰りますね
みんな
闇を仰いだ
幾度めかのまよいに、
うたは
すっかり
染み付きました
C.Q.
C.Q.
わたしですか
ここは
わたしですね
そこも
凍てつくものたちに
したわれた朝、
あらたな破片が
澄んでいました
嘘もちぎりも
凌駕して