詩人:龍聖
虫がいた
殺す気にはならなかった
だから
そとにだす
何も考えずにそとにだす
背中をつまんでそとにだす
放り投げるようにそとにだす
極寒の東北のそらの下
何も考えずにそとにだす
『直接は殺してはいない』と呟きながらそとにだす
何時間か経ったら動かなくなることを知りながらそとにだす
虫だからそとにだす
ひどいことをしていると知りながらそとにだす
いっそのこと握りつぶした方が虫の為かもしれないと思いながらそとにだす
虫だから殺そうが捕まらないし害があるからそとにだす
虫だから。
心苦しさを覚えつつそとにだす
そとにだした瞬間に思った
僕は最低だ。