詩人:千波 一也
晴れわたっていなさいね
かなうのならば、
かなう限りは
おまえの空を
喜びなさいね
馳せてゆきなさいね
どこまでも
どこまでも
たやすく
他人を切り捨てぬよう
大きく、大きく、
尽力なさいね
咲いていなさいね
おまえの
愛でる花が咲いたら、
それからさきは
香りなさいね
耳を
すましていなさいね
聴きたいことは二の次に
聞こえることを第一に
とおく、から
近しいものでありなさい
かぞえていなさいね
おまえの指が
頼りなくても、
だれだって同じ
なにもかも同じ
安堵とため息を
繰り返していなさいね
幸せになりなさいね
ほんとの意味も
いつわりの意味も
すべてはおまえの
手のひらのなか
ささやかであっても
温もりに守られていなさいね
つながっていきなさいね
いつか
わたしは遠くなるから、
そうなるまでに、
生を受けたもの同士
けんかなさい
笑み合いなさい
うたっていなさいね
春を告げたり
冬を畏れたり
さびしい理由がわかるまで
愛しなさいね、
愛されなさいね