詩人:たかし ふゆ
深夜のファミレスで遅い夕食を取った後
何故かいつも、冷たいものを食べたくなる
雲間から覗く月は冷えていて
一通、メールが届く
言葉にならないものが、バカみたいに詰め込まれている
10円玉を握って遊ぶ子供が、少しだけ過去と被る
俺にとっては甲斐のあるコインだったが
彼には違っただろう
国籍が違うのと同じくらい
僕らはみんな、違う場所で息をしている
世界は常に1ミリずれていて
一人分のスペースを否応なしに作る
僕らが恐れるのは
死ではなく、孤独
メールを開く
安直な言葉と、異国の情緒溢れる画像
あいしてる、の一文
少しだけ僕の体温が上がる
まだ孤独ではない、という安堵
まだ生きている、という感覚
消えない会話