詩人:はるか
元気ですか
この坂道を通ると今も
君の声が聞こえてきそうです
笑い転げたり
急に押し黙ったり本当に忙しい君だったけど
泣き言一つ言わない君があの日だけは違ったんだ
ねぇ、覚えてる
旅立つ君を見送るのは
ボクの役目だったのに
「行きたくない」と
君が泣き出した事
繋いだ手はいつしか
解けてしまったけど
君と見た景色は
今も変わらずここに在る
背中を押すボクの手は
もう君には必要ないから君はただ、先の未来を
見つめ続ければいい
差し出す傘も
涼しい木陰も
君を包む全ての物が
ボクの代わりに
君を守ってくれるはず
海の碧が
閉じた瞼からも眩しくて
顔を覆う以外に
僕には何も
出来ない気がした
僕にはもう
何もない気がした