詩人:村和緒
ゴリラが運転する列車が鉄橋にさしかかると
急ブレーキがかかった
「馬鹿野郎俺に運転中は電気ショックを与えるなと
言って居るだろう」
どうもゴリラの運転士に誰かがイタズラをしたらしい
猛吹雪の中ただでさえ視界不良の難しいシチュエーションに
ゴリラは少し気が立って居た
客の中の誰かが格差がさーと言っただけで
「馬鹿野郎俺の前でカクサの話はするな」
と、いらだった
ゴリラは運転士をやる前はホームレスで乞食をやりながら
生活をやりくりして居た時期があった
そのときのあだ名が「ひだのあれ」だったので
何かの拍子に誰かが「ほらあれよあれ」とか
「ひえー水が止まらない」と言っただけでも
取り締まっていたほどなのだ
そこで堪忍袋の緒が切れたゴリラはある決意を秘めて
社長室に乗り込んで行くと奇跡が起こるのだが
それはまた別の話である