詩人:くじら
ため息色の空に
冷たい風がぶつかって
その痛みを僕は知る
たどり着いた雲が
今日とくっついて
独りきりを僕は知る
待ち合わせした雲の上
君の優しい呪文で
眠りにつけるならば
こびりついた嫌なコト
ぜんぶ忘れられるのに
白い雲はいつもと変わらず
風を受けて流れてゆくのに
僕の心のモヤモヤは
相変わらず重く湿ったまま
ここにとどまり続けてる
「何も失うものはない」
なんて強くなった気になって
「独りきりで生きていける」
そんな強気な態度示して
ぶつかった風が雨を落とし
びしょ濡れの「虚勢」は
手の中で泣いていた
誰かの優しさにすがることは
弱さなんかじゃないのに
哀しみを背負った影を
追いかけて歩き続ける
堪える強さばかり
身に付いてゆく
重い荷物を背負った後ろ姿
その瞳には何が映ってる?
子供みたいに
如雨露いっぱい水を溜めて
好きな所に虹を作った
君に届くように
今日の終わりは
見慣れた空の中へ消えていった
古ぼけた夢のまた夢
懐かしい雨の匂い
夢の中でさえ
傘も持たずに歩いてゆく
あの日とよく似た景色
水溜まりに映った逆さまの空に
丸く描いた虹を滑り降りて
飛び乗った列車は
膨らんだ雲を突き抜けて
月の裏側まで走ってゆく
月の光が導く先に見つけた希望
すべてを許してくれてるみたい
いつかまた出逢えるのかな?
出来損ないのこの物語の中で
なぜ人は愛に傷付いても
また愛を求めるのだろう
僕はこの空になりたいと願い
降りだした雨は君の温かい涙に
いつかなりたいと願った
描いた七色の虹を
その瞳に映しながら