詩人:琴
〜はじまり〜
目を開けた
世界は何色って
そりゃ何も変わってないさ
乾いた空気も
霞んだ視界も
静けさの中に溶け込んだ
その中に何か感じる
いつもと違う感覚
一直線な時計の針が屈折した後
大人のひみつでもあるのだろう
知りたくもないけど
確かめたいだけの好奇心
ドアの向こうの
冷えた世界へ出た今朝のこと
拝啓
こんにちは。
回路の調子は如何ですか?
健常者とまではいきませんが良くなってきたのではないかと思います。
昨日、やっと味方が一人減ったようです。
あなたは多分知らないでしょう。
コッチとアッチの世界では
流れが違うようで戻ったときにはきっと
飲み込まれてしまうくらい
何も理解出来てないですもの。
私は空っぽです。
あの人形も何時から居たのだろうと
今もすぐ後ろまで来ているというのに。
そんな今日はどんな様子ですか。
きっと七つ数えても生きてます。
だって、まるで違っていましたしね。
やっと呪縛から少し解かれたような
あるいはもっと酷くなったような
一本だけ羽が生えたような
掴めない、意地らしいものたちに
振り回されている
生きているとはこんな感覚でしょう
結局今も鳥になれずにいます。
こんな羽じゃ何処へも行けません。
きっと私も数年すれば辿り着くのですね。
でもそこにあなたは居ない。
それがわかってしまうから
私はとても憤慨しております。
辿り着く先が全く同じと言えるのですか。
壊れた足でさまよいます。
立派な羽ができるまで。
私はきっと追いつきます。
本当のあなたに会うために。