詩人:甘味亭 真朱麻呂
そこにある筈の可能性に手を伸ばすことが
とても恐いのです
今僕は恐いのです
様々な不安の形
僕の中でとぐろを巻いて複雑に絡まる
辿り着けば
いつでもそこは暗闇
気づいたときには
もう後戻りできない現実の中
夢の中、鏡の世界、鏡に映る僕が泣いていた
ずっとずっと続いている鏡に映るどの僕も同じ様に立ち尽くしながら
涙しながら時々うつむいて泣いていた
おどけた表情の道化師の励ましは僕には何のやさしさも感じられず
僕は無視をして三角屋根のサーカス小屋から出る
全くの無秩序の世界、
ルールさえなく
毎日のように人は残虐行為を繰り返し
やりたい放題の夢の中
小熊のぬいぐるみはおじさんからのプレゼント
継ぎ接ぎだらけの小熊はなんだか不満そう
机の上のオルゴールは途切れ途切れにぎこちなく鳴り続ける
メロディは聞き取れるが
何の歌かはもう思い出せない
記憶の部屋は楽しい思い出ばかりを詰め込みすぎて
もう今にも破裂しちゃいそうなくらいだ
夕焼け空、たそがれ時、赤い風船にくくりつけられた小包の中身はきっとこの世界に生まれ落ちる前に逝ってしまった
つけられることもなく捨てられざる得なくなった
その子たちの名前だろう
風船はやがて破裂するから
記憶の海に落ちて
それは暗い海の底でまたつけられることを待つか
永遠に沈んでいるかどちらかの運命をたどる
砕け散った記憶の破片が心に刺さって抜けない
残りのなくした記憶は刺さって破片の痛みを伴いその後遺症で思い出せない
後はただ過ぎ去る季節の悲しみを風に流し
夢さえ見れなくなる眠りに着くまで
僕は夢を見て、現実では忙しく働きます
暇つぶしのように好きなことをし、遊びながら
今日もまた同じ道順を行き、帰ります
私が本当にいるべき記憶の部屋へ。