詩人:千波 一也
地に伏せながら
黒布は一身に熱を浴びている
欲するものは
明るみの向こうの
静寂な守り
守り、という信仰
容易くは脱ぎ捨てられぬ
軟らかな哀しみに
黒布は濡れている
知るべき言葉に
たぐり寄せられながら
黒布は濡れている
緑の匂いの濃い山林は
秩序の檻だ
畏敬のみが押し寄せる
法の中枢だ
監獄とも呼べるだろう
昔
ソレイユは
自らを引き裂いた
奔放な彼の所作は
巧みに姿を整えながら
燃されるべきものを監視している
それゆえ愚かな沈黙は
なお織り重ねられ
地に伏せる
美しく在ろうとする
偽りたちの一切を
ソレイユは導く
起点と終点とが
交わるところの単一色へ
染めあげる