詩人:甘味亭 真朱麻呂
脆い、
何もかも脆い
命も、夢も、愛も
すべてが脆い
ただ単純に日々を過ごす中で
決められた事を決められた分だけこなす
そして限りとなれば簡単に人は逝く
愛想よく笑って出かけたあの娘も白くなって産み落とした親の前で棺の中横たわる
あぁ、脆い
呆れてしまう程脆い
同情する程脆い
脆すぎるよ
だから
あの娘もあの人も
脆いが故に逝ってしまった
けれど、脆いだけに
彼女が見せた最期の笑顔はなによりも尊く
そしてなによりも愛すべきものだった事
きっと産み落とした人は忘れない
憎しみよりも悲しみに暮れた日から遠く来て思い出す日も
自分より先に逝ってしまった事
あの日流した涙
最期の笑顔
ぜったいに忘れられない
きっと忘れられない
自分以上に大切なものの存在を忘れはしない
だから想いはいつもここにあり
そして彼女の笑顔もここに残る
ずっと ずっと。