詩人:千波 一也
春からいちばん遠い季節に吐息はゆれる遥か列車の通過の幻想に疑いもなく聞き耳立てて苦しまぎれの憧憬がいつかの砂地で花開くもう誰ひとり忘れぬように頑なに自立を遂げる影かたち憂いは自ら意志を得て冬の起源の日を告げる圧倒的な精度で圧倒的な鮮烈さで軌道はくれない深くくれない命はことばは火から生まれた時に消え入りそうになりながら水をわたって夢も祈りももろい強さも