詩人:EASY
僕が宝くじを買う理由は
ほど遠くも儚きものだ
一等が当たった時に
どんなことを思うのかという
好奇心と呼ぶ為に必要なものを
ギリギリに満たした
その様なものだ
野球が嫌いなのに
壁にボールを当てて取る事しか
楽しみのない子供が
グローブを親にせがむのを
想像出来るなら
その様なものだ
僕は大抵
スケジュールの空いた休日の正午に
宝くじを買いに行く
信じられないほどの無気力と結託し
宝くじ売り場に向かうのだ
どうでもいいにも程がある程の
適当さを信条に
僕はナンバーをマークする
そして
下町の総決算
とでもいうような
おばさんとの接触を図る為に
その列に並ぶのだ
その列に並んでる間に
考えることは
その日の夕食のメニューである
気づかれない事が多いが
夕食を考える為に
最も適した環境は
宝くじ売り場の列なのだ
僕はそう思われる事を
望んでいるかの様な愛想笑いで
当たれば良い様な顔をして
その
遠くも儚きものに
酔いしれる
それに適した温度は
春か秋の真ん中辺りの
17度前後の昼下がりであるが
そんなことを予報する天気予報は
途方もない年月を経ても
放送されることはない
そして
信じられない程
無気力な僕が
ワイドショーを見ながら
みずほ銀行の場所をチェックするのは
どれ程までに
ほど遠くも儚きものか
想像すらも憚れるのだ