詩人:清彦
私は人生を無駄にしていないか
私は私以外をよく観察し
よく眺め、よく思い、
堪能しきれているだろうか
人生は愉しい
愉しい景色なのだ
五感を活用して
存分に味わう方が良い
ただのひとつの
100円のパンですら
パッケージをよく眺め
主成分を確認し
よく噛むほど良い味を楽しみ
飲み込む時には
食道を通って空腹を
幸福を満たすこの感覚
パンが私の身体に成る喜び
全てを吟味して
よく生きているだろうか
眺めた事のない景色は
感じることは出来ないのだ
眺めるとは何だろうか
私は私の中に世界を持っている
蓄積された膨大な記憶を
時には鍵として
あるときは答として
実は全て繋がっていく
そうすると思いつく
私と私以外に
何の区別が必要か
むしろそれは不可能ではないか
空気ですら
私を取り込んで
私も空気を取り込んで
情報ですら反射のように
人々を行き交って
もろもろの全てに
実は線など
在っても無くても善い
それがすべてであり
ひとつなのだと
それならば、
物事は量に拘らずとも
幸福の器は満たしてしまえるのだと
私は何度でも私を愉しませよう
朝方、太陽の光と
ある一日の始まり
呼吸が美味しい
風になびいて揺れる木葉が好き
電車に揺られながら読書が好き
あるときは
人々の悲しみ、痛みさえも
ドラマティックは美しい
詩人
言葉に託す想い
頼りなく、素晴らしい
ひらひらと、たんたんと
吹く風にのって