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[67668] 鞠子

詩人:緋文字

ついていた
何時みても
同じ場所
数え唄必要とせず
その為に
生まれてきたかのよう

迎えは来るのか、
見える場所から声をかけた
口許緩められず
伏せた睫毛も上げてこない

ふと
取り上げたくなった
その子の周りを
つく音だけが
責めるように響くから
そんなものが
鞠が無ければいい

外さなければ
一点をつき続ければ
そんなことを
信じているのか
鞠は戻る その子の手に
吸い寄せられるよう

かなしくなる
その音に
遮りたくなる
衝動が間違いだと
音が止まない
何も聞こうとしない
聞きたくない
意思で投げられる前に
止めて いいのだろうか
よくはなかった

それは上手につく
鞠で喜ぶ子など
消えてしまった時代に
術がないかのように興した 錯誤な遊戯
冷ややかな顔した子
熱気だけ立ち込めて
通り過ぎる者も
解らぬくせに
焦躁の汗だけは垂らす
解らぬなりに

並んでついたなら
止めて、と見遣るだろうか
その子の待つもの現れたとして
その音は止むだろうか
その鞠が
どれだけ今まで
その子に
必要とされただろうか
その子が
瞳の奥まで覗かせたとして
その瞬間を見逃さず
判る者として
いれるだろうか

2006/02/25 (Sat)
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