詩人:どるとる
憂うつな雨が朝からぽつぽつ降り止まぬ
小さな雨粒のひと粒ひと粒はひとりひとりの悲しみなのさ
ぼくは今とても悲しい
雨の冷たさがからだの芯まで冷やすから
何も言えず
何もできず
ただ 立ちつくす
雨の中ひとり
あまりの静けさにいたたまれず誰も知らない歌
たまらなくなり口ずさむ
鼻歌混じりのため息
曇天に 浮かぶ 青い月
照る照る坊主も無意味になりそうなどしゃ降りのバッドデイ
トンテンシャン
雨が屋根の上
はじけては
規則正しいリズムをきざむ
退屈紛らすにはあまりにもつまらないけれど やることもないからぼくはずっとその音色に耳を傾けていた
食いしん坊な夜が朝をのみこむまで
ぼくはひとり 夜の腹ごしらえが終わるのを待ちながら
だんだんと胃袋におさまってく朝を眺めてる
月が 闇に浮かび
煌びやかに目立つ その時まで
やまない雨の音を聞きながらぼくは面倒くさがることの言い訳としてこう呟くのだ
トンテンシャンと雨が降るから
ぼくは殻に閉じこもるみの虫になるのだと。