詩人:アル
《脱兎のごとく》
ケンカしたの?
ヤツと?
顔に書いてある。
いいえ、
あたしが一方的に
キャンキャン
吠えてただけで…
あ、でも
今夜仲直りの
チャンスだね?
彼の誕生日だろ、
女子社員から
なんかプレゼント
貰ってた。
……
あ、心配ないって
アイツが
ユキさん以外の子に…
誕生日なんですか?
知らなかった。
あら?
そっちの方?
あたし、
主任がいくつなのかも
知らないんです。
え!?
ぼくはまた
アイツ正式に
離婚したから
きみたちちゃんと
付き合ってると
思ってた。
……
オイ!アイツ、
まさかユキさんに
そんな大事な話も
してなかったのか
何やってんだ!
離婚したんですか…
あ、でも
いいんです、
主任わたしに
興味なくなった
みたいですから。
よくないよ!
あーっ、そっか
わかった!
離婚の原因が
ユキさんに関係ある
と思われたく
なかったんだ、
アイツらしい
気の使い方だよ、
ユキさんが…
ユキさん?
アレ、ユキさん?
いないよ…消えた!?
あっ!いたっ!
立ち直り早っ!
おまけに足も早っ!
ありゃシロートの
走りじゃないな。
ハァハァハァ…
こめんなさい
ごめんなさい
ハァハァハァ…
主任…ほんとに
ハァハァハァ…
ごめんなさい…