詩人:鴻
『お前には価値がない』
それはあんたが決める事じゃない
『お前は失敗作だ』
それはあんたにとってだ
『お前はリサイクル出来ないゴミ以下の存在だ』
それはあんたがそう蔑みたいだけだろう
『お前が産まれて生きている事が最大の不幸なんだよ』
ああ あんたにそう言われる事が俺の最大の不幸だよ
言われ慣れた言葉が
心には深々と残る
綺麗な切り傷から感染し
ジュクジュクと腐っていく
赤黒くただれていく
どんどん健康な所までも
影響を受けていく…―
あんたの言動は
俺の性格を変えるには充分すぎたけれど
それ以上に
もしも あんたが言うゴミ以下の俺と言う存在を
愛してくれる人が出来たら
どれだけ愛しい人で
どれだけ幸福な事か
そう思う事にしたから
その時が来たら今まで溜め続けた 感情の涙
一気に出して止まらないし止め方も分からないだろう
だけど…―
その時俺は知るだろう
価値と云うものを
その時俺は言うだろう
君の存在がどれだけ大切か
あの人が放った言葉を
嫌味ったらしく使ってやろう これは性格の歪み
だけど
俺なりにアレンジして
『君が産まれて生きている事が最大の幸せなんだよ』
…―たくさんの昔話を
君はおとなしく聞いて
ニコリと
いつもの優しい笑顔を
意地悪っぽい笑顔に変えて
『ありがとう
あなたにそう言われる事が 私の最大の幸福だよ』
『……。』
勝てる気はしないが
愛し方愛され方だけは…―
“『 成功作 』”