詩人:千波 一也
ほんの
ひと握りの間に
つたえられる想いなど
わずか数行
わびるにも
しのぶにも
なぐさめるにも
たしなめるにも
ひとは
それほど多くを
持ち得ないから
大切な想いは
小さく包んで
わずか数行
手向けのことばも
にくまれことばも
お礼のことばも
まつることばも
短いことは非ではなく
長々しいことは美ではない
つかの間の
ひとしずくの命なら
すべてを湛えよ
わずか数行
誇らしくも哀しげに
いたらぬ誓いも
とどかぬ契りも
交わしあう空も
交わしあう海も
わずか数行
2014/03/01 (Sat)