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詩人:どるとる
ゆらゆら 揺れているのは夜の明かりのほうかそれともぼくの心かな
ただ静かな水面を進む舟のような
気分でぼくは窓辺
壁を背にして座ってる
やがてぼくという舟は終わりという岬に着いて
静かに闇の底へ沈んでゆくだろう
愛の言葉や優しい音色に包まれながらぼくは生きてゆきたいのにいつもそれをじゃまするように深い安らぎに満ちた夢が真っ白な世界へぼくをいざなうのさ
願いが叶うものなら
今すぐ 夜から抜け出したい
遠く近く 揺れてる
自販機の明かり
あんなちっぽけな存在のぼくを抱きしめるように君はぼくの中にある 汚い欲望や悲しみさえ ためらいもなく 受け止めてくれた
やがて 涙で何も
見えなくなる
全ての万物は
眠りに着くから
ぼくはゆらゆら
揺れながら
ただゆらゆらと
揺れながら
何に揺れてるのか
何におびえてるのか
ただ揺れているよ
夜と朝のちょうど真ん中
時計が天を貫く時刻にぼくは揺れていたよ
夢はぼくのすぐ目の前で溶けて
跡形もなくなる
そしてぼくは
誰かに夢から
引きずり出され
それが 誰かも
わからないまま
日々は流れ
ぼくは大人になる
宛もなく夢もなく
色彩を欠いた
地味な未来の中
モノクロの虚空を
見つめている
ゆらゆらとただゆらゆらとぼくを揺らして
ぼくが揺れているのか世界が揺れているのか
見える景色全てがぐらついている
心なしか 優しく見える
涙は目に見えないものさえ滲ますんだね
ほら ぼくの頭の中さえぼやけてしまう
言葉なくして
ただ伝えるすべ
探しながら
脳内世界さまようように全てが全て
不明確な暗号と化す
会いたいけど
会えないひと
君は愛しすぎる
ぼくの宝物
夜の空に散りばめられた星はそのひとつひとつがまるで宝石のようにどれも素敵に輝くよ
そしてぼくはまた
今夜もいい気な夢を見るだろう
君も夢を見てるかな。