詩人:緋文字
白無垢姿の嫁様みたいね
白木蓮
好きな花に挙げていた
貴女の散り際
百から引いた方が早かった
それでも愛らしかった
綿帽子姿で送り出したのは
誰の配慮だったか
聞く事ができたなら
貴女も嬉し泣けたのかもしれない
共に暮らした四倍の時
ひとり背負って
貴女が最期まで気にしていた者が
最後に貴女の為にした
人らしいこと
また、らしさを失ってしまう前の
一寸正気に戻った
穏やかに流れた時間
二十四時間も持たなかったけれど
立派な貴女に
恥をかかせたくなかったのだと
返したかったのだと
そう思ったら
少し和んだ
写真の中の其の人に
顔は一番似ていたものね
時は早いね
速いのに
過ぎてくれないね
また春がきたよ
あいつが動く