詩人:望月 ゆき
ぼくんちの黒い電子ピアノはいちばん右の鍵盤が壊れて 音が出ないあんまり使わない音だからいいんだ とまわりのみんなには 言っているけれどぼくは 時々真夜中にもしかしたら鳴りはしないかとためして鍵盤をたたく昔っからあきらめが悪いんだよたしかなことは音の出ない鍵盤が この先 どんなに増えたってきっと この電子ピアノをぼくは捨てられないんだってこと