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詩人:甘味亭 真朱麻呂
永遠へと雫は繰り返し繰り返し落ちてはまったく違う雫が新しく浮かび上がる
なにもない真っ暗闇の世界から
ある日突然なんらかの意思や何かによって
雫は生まれ
そして消えていく
それぞれが決まった寿命という限りを持ち
永遠へと消え去っていく
消え去った後でも言葉や想いは見えずともそこに残る
たとえば私の心の中に生まれ落とした人の想いは残り
そして雫は私の身体の中にも紅く流れている
永遠に伏せる時になった雫は騒ぎ立てはせず静かに静かに落ちていく
そしてもう戻ってこない永遠という闇の中へ沈んでいく
その人が書いた幾多の言葉さえ届かない場所に沈みきって
悲しいと涙を流せることすらなく
空っぽの私はその雫と同じ運命をたどる
誰もが同じ最期をむかえるんだ
繰り返す連鎖のその途中で
いつか私も
そして君さえも
悲しい永遠の中へ
落ちていくんだ
悲しいとすら感じられることもない
空っぽの世界へ
落ちていくんだ
たれ流す涙の雫の冷たささえ
わからぬほどに
私は落ちていった雫と同様に最期は嫌でも瞼を閉じる
それだけは確実に決まっているこの世界の不変的な掟なのだから。