詩人:まとりょ〜鹿
春先、花粉症、お気軽な薬局が進めた内服薬。
ちっとも効きゃしねぇしな。
桜並木のトンネルを見上げた途端にクシャミが止まらない。
こんな季節にゃあれしかない
夏場、照り返るアスファルトの熱でバイクのタイヤがダレる。
ちっとも進みゃしねぇな。
緑色したシャツの背中を白く吹かしながら、茹だる暑さにふと思うのさ
こんな季節はあれしかない
秋深し、隣で居眠りこくお前。シートを限界まで倒しといて直さないで帰りやがる。
ちっとも聞きやしねぇしな。
どうせ沢山買ってあげたお菓子も、半分以上腐らせて終わるんだろうな
こんな季節はあれしかない
寒さも佳境に入れば、イベント事で急にお前から呼び出しかかるんだし車で待機。…でも、
ちっとも呼び出されりゃしねぇな。
そりゃそうだ。お前は他の男と楽しくやってるんだろうし
こんな季節はあれしかない
節目節目で思うのさ。
どんな時でも
環七沿いのこの店が恋しくなるのさ。
まずい飯。
安い酒。
軽い内容の会話。
まずはあれしかない。
ここに逃げ込もう